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「紳士協定」
評価:
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ファーストトレーディング
¥ 280
(2006-12-14)

JUGEMテーマ:映画
 
アメリカ西部から東部にやって来た記者が、反ユダヤ主義を批判する記事を書くため、しばらくユダヤ人のふりをして暮らす中で、先進的思想の持ち主だと思っていた恋人が、偽善者であり傍観者であることがはっきりしてきて、記者は別れを決意する・・・。


この映画の製作された時代を考慮に入れなければならないにしても、わたしは、よりリアルな記事を書くための記者の思いつきに、終始共感できず、映画に乗れなかった。
時期が来たら足を洗える期間限定のユダヤ人なんて、ユダヤ人の怒りを買うのではないかと思いながら観ていた。

彼の仕上げた「八週間のユダヤ人」という記事は、周囲の人に絶賛されていた。
騙したのか、と、怒った人はいない。が・・・。

記事を書き終わると、ユダヤ人でなかったことを明らかにし、去って行こうとする彼に、ユダヤ人が生涯に亘り受ける差別が、どれだけ身にしみたというのだろう。

彼はユダヤ人ではない。
彼の変えられない出自は、ユダヤ人を差別する側の人間である、ということ。
ユダヤ人でない者が反ユダヤ主義を批判するとき、被差別者の立場になってみることには、どこかしら安易さがつきまとい、偽善に繋がる恐れがあると感じる。
差別者側の立場に己を見出し、その重さを受け止めてこそ、彼にとっては意義のあることではないかと思うのだが。

差別に対し、「声を上げよ」と、言うのはたやすい。
けれど、本当は、彼の恋人が心配したように、保守的な実社会には、数々の障害があるはずだ。
正義への情熱のあまり、何事も体当たりの彼が、そのリスクについて深刻に考えているようには見えなかった。
すべて、彼が本当のユダヤ人ではないからだ、と思えてしまう。


自分が偽善者だったと覚醒する恋人の方が主人公であったなら、もっとリアリティのある映画になったのではないだろうか。
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