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「チャンプ」
冒頭、広い厩舎を俯瞰するカメラが、そこで働くビリーとTJの姿を探しあて、徐々に彼らの元へ降りてゆく。
この映像の美しさが、ハリウッド資本で製作され、ハリウッド俳優を起用しながら、フランコ・ゼッフィレリの映像と演出はひと味もふた味も違うことを大いに予言している。

ビリーは、七年前に別れた妻・アニーと、競馬場で偶然再会する。
息子のTJには「母親は死んだ」と言ってあるが、アニーはTJの実の母親であり、彼女がTJを自分の船(アニーとその夫はマイアミに船で滞在している)に招待するのを、ビリーは仕方なく承諾する。

おめかししてアニーの元を訪れたTJの愛らしさといったらない。

TJの子供らしい純真さと、父親と二人で生きてきた逞しさ、そして、ひねたところのない素直な反応を、アニーの夫も気に入るのは当然。

(TJを見ていたら、「遥かなる山の呼び声」という映画の、吉岡秀隆くんを思い出した。)

アパレルの仕事に就き、今は地位も名誉も手に入れているアニーは、TJに高価な鞍や手綱を土産に渡す。
TJは、迎えに来たビリーに、興奮したようすで、それらを見せる。
ビリーは、TJのため的当で得たパンダのぬいぐるみを、そっと車の外へ捨てる・・・・・・。
ここの演出が、さり気なくて、いい。

ビリーはほんとにダメ男で、稼ぎは酒とギャンブルに消える。
だからTJがしっかりしているのだろうし、アニーは去ったのだろう。

ギャンブルでできた借金をどうしても工面できず困ったビリーが、アニーに頼み込みに行くと、彼女は、「内心ほくそ笑む」といったような表情になり、「いいわ」と快諾する。
「TJのためなんでしょ」と。
「TJの馬を持っていかれそうなんだ」と言い訳するものの、ビリーの作った借金なのだから、アニーに金を借りたことで、今後TJの親権を主張する際、ビリーは分が悪くなる。
そこまで見通しての、アニーのほくそ笑みであったと思う。

ビリーは、何不自由ない暮らしをしているアニーに、TJをとられたくない。
男の意地もある。

アニーとの再会は、萎えたビリーの魂に火をつけた。

ボクシング元世界チャンピオンのビリーは、ボクシングから遠ざかった今でも、自分のことを「チャンプ」と呼びつづけるTJのため、そして何より自分のために、再びリングに立つ決意をする。

いい感じで来ていた演出が、ボクシングの試合あたりから崩れはじめる。
何しろ、パンチが当たりすぎ。
重量級のパンチは、破壊力もあるだろうに、どうしてガードしないのだろう。
それとも、わたしが軽量級に多い日本人ボクサーの試合を見慣れているせいで、違和感を感じるのだろうか。
そういえば、「ロッキー」のボクシングも違和感があった。

試合後、倒れたビリーを控え室に運んでからが、またおかしい。
ドクターの来るのが遅すぎる。
リングドクターって、すぐ傍に待機しているはずでは。
しかも、やっと来たと思ったら、聴診器をビリーの胸に数回あて、「お気の毒です」って、それだけ?
ドラマ「ER」では、四十分くらい心臓マッサージしているが。

最後のシークエンスで、すっかり白けてしまった。
リッキー・シュローダーの熱演も、空回り。残念。
評価:
ウォルター・ニューマン
ワーナー・ホーム・ビデオ
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(2007-06-08)

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